SEIKA AWARD賞

絵画

空色になんてならない。

飯野 理奈子
山梨県立甲府第一高等学校

私はよく屋上に行く。甲府は山に囲まれていて、その中に建物が密集していて、都会風だけどシャッター街が多いのが見える。初めて屋上から甲府の空を見た時、快晴ではなかったけど曇っても居ない、あの微妙な感じを今でも覚えている。実に普遍的な空の色だった。あれから私は、頻繁に屋上へ行くようになった。友達も何人も変えて行った。恋人とも行った。ある時は、病院の屋上だった。またある時は学校の屋上だった。ある時は、真昼間で暑かった。またある時は燃えるような夕焼けが出ていた。その一瞬一瞬がフラッシュバックする。ミルクチョコレートみたいな青春だった。カカオ分90%の青春だった。青春は屋上から望んだシャッター街に紛れてしまう。青春は屋上から望んだ空色に溶けてしまう。でも、空を仰ぐ私たちは空色に溶けてはいけない。空色になんてならないで。空色になんてならない。

SEIKA AWARD