SEIKA AWARD 2025

SEIKA AWARD 2025

優秀賞

美術・工芸部門[絵画]

心象、朱、花緑青

祢津 はるか(山梨県立甲府第一高等学校)

フナを観賞用に品種改良して生まれた金魚と、「他人が求める私」でい続けるために本当の自分を隠してしまう私自身に、どこかシンパシーを抱いた。ある瞬間は美しく見えたとしても、その本質からはヘドロが香る。彩られた鱗から透けて見えるのは、浅ましい臓物の膨らみだけだろう。考えれば考えるほど、金魚と私自身は、よく似た気持ち悪さを持っている気がする。また、題名の「花緑青」という人工顔料には強い毒性がある。美しい色で自身を誤魔化す私たちに、お似合いの色だと思った。この作品を目にした人々に、生々しさや気持ち悪さ、美しさや儚さなどいろいろなものを胸一杯に感じていただけたのなら、幸いだ。