美術・工芸部門[絵画]
マイ・パラドックス
中井 蒼一朗(高松中央高等学校)
私にとっての大台たる50号に対峙した時、太刀打ちできないと、呆然としました。それでも描いてやるんだ思う私には不思議なほどの光出すような熱があり、画面を相手にもがき通そうとする力は正とも負ともとれない何にせよ強いものでした。核のような、実際に形と質量を持った何かがあるように感じました。作品では感覚を形にし、中心にはその何かを、結局私にも正体がわからなかったため黒で塗りつぶして据えています。熱は蛍光色のみの目に焼き付くような部分を設け、力はのたうつ原色の帯で表現。もがき通すことのシンボルとして目と口、目はぐっと見開き、終着点を捉えています。口は食いしばるようにも歯を見せて笑っているようにも見えるようにしました。私がもがきながら描こうとするのは、全力を注ぎ、それが苦に近いと感じさえするようになりながらも、その苦にもおもしろみを感じるほどに絵に惹かれているということを重ねました。