奨励賞
メディア部門[写真]
射光
大堀 晃(広尾学園高等学校)
人とは人や物との魂の繋がりで成り立っている。誰かと話したり、笑ったり、物と接したり、日常の小さな関わりから対象の魂が少し自分に残り、また同時に自分の中の少しを相手に置き去っていく。これらの魂を一生の間に数えきれないほど集め、亡くなる。すなわち、我々の人生には一見では理解不能な唯一無二の世界が広がっている。私の写真にも同様、一見では理解できない面白さと遊び心を兼ねることを心がけている。中心にいる人物から無数に発されているかのように見える室内、高層ビルや右の隅に見える公園は、世界の複雑さを表している。またモノクロであるのは人の奥に潜む想いがどれほど見ても完璧に伝わらないことを暗示している。人は誰しもが他人には完全に理解できない世界を持っている。写真であっても、一見では愚か、百見にしても全て理解することは不可能である。だがこのような複雑さが人生の面白さなのだと私は思う。