デザイン部門[建築]
階段から広がる新しい世界
安藤 浩誠(法政大学国際高等学校)
小学校の頃、階段に座って話していると、「階段は座る所ではない、邪魔だ」と先生に怒られました。思い返しますと、階段に座って話している方が、机に座って話している時より楽しかった記憶があります。それは何故かと考えますと、自由な場所だったからではないかと思うのです。そもそも座るためにある訳ではないので、会話も、発想も、時間も、そして話す相手も偶発的なのです。ここに新しい可能性を感じます。そうであれば、階段を、これまでより広く大きくして、階段を偶発性が生まれる場所と捉え、意図的に座れるようにしたら、新しい世界がより広がるのではないかと思いました。座り方も、座る向きも決まっていない場所で、偶然すれ違った人たちが、予期していない思いがけないアイデアを産む、最もクリエィティブな空間が「階段」ではないかと考え、階段の世界を、そしてコミュニケーションの世界を広げたいと考えました。