メディア部門[写真]
こころ
森 睦季(兵庫県立網干高等学校)
この写真は、過去を振り返って撮影したものではありません。
シャッターを切ったその瞬間、私は確かにそこにいて、目の前の景色を見ていました。しかし、写っている光や輪郭はどこか曖昧で、今見ているはずのものが、すでに記憶へと変わり始めているように感じられました。
記憶は出来事が終わってから残るものだと思っていましたが、実際には現在と同時に生まれ、進行しているのかもしれません。この一枚に写っているのは、完成された思い出ではなく、今の自分の中で静かに残り続けている感覚そのものです。消えることなく、形を変えながら今も確かに存在しています。病気で増えていく処方箋、やけになって飲んだエナジードリンク、片付けられない机の上、全てが前の記憶であり今の記憶です。涙で目の前が真っ暗でぼやけている感じで撮りたかったためモノクロームで後ろをぼかしています。