メディア部門[写真]
記憶の小道
三嶋 隆之助(近畿大学附属高等学校)
トンネルを抜けるとそこは緑の姿がまだ大きく、私を包み込んだ。素晴らしい絵を求めて最新のデジタルカメラを持ち合わせては色々な風景のもとでシャッターを切った。しかしこの小道は私が望んで撮ったものではない。今でもそう思う。最新のデジタルカメラにはこの景色が残っていないというのが何よりの証拠だ。ただ記憶しているのは一瞬黒く消えて「パシャ」と鳴り響いたことだ。その時私は70年製のオリンパスを片手にしていた。
私はこの冬、学んだことが二つある。一つは、いいものとは美しく作って着飾ったものではなく、そこにそうあるべくしてあるものだということ。そしてもう一つは、私たちは常に忘れものをしているということだ。気をつけねば、、、