文章部門[エッセイ]
暗然たる世界に差し込む一筋の光
木下 ゆかり(白百合学園高等学校)
世界。この言葉に、皆さんはどのようなイメージがありますか。本の世界、AIの世界、フィクションの世界。このように私たちの社会には多様な世界が存在します。
そんな中、私がイメージしたのは、分断・対立が激化し続ける「今の世界」です。世界中を震撼させ、連日報道されるウクライナ侵攻。多くの犠牲者を出し、人々の笑顔と温もりは一瞬にして消え去りました。しかし、そんな暗闇に満ちた世界をもう少し焦点を絞って観察してみると、実はもう一つの光輝く世界が広がっていました。どんなに辛く、苦しい状況であったとしても、観客に希望を届け続けるウクライナ国立バレエ団の団員と当バレエ団芸術監督の寺田さんの姿。彼らの表現する芸術は、侵攻を忘れさせるほどの圧倒的な美と強さを持っていました。
芸術によって醸成される人々の温もりと支え合う強さ。互いが尊重しあい、手をとりあう「世界」が一刻も早く帰ってくることを今日も願って。
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