SEIKA AWARD 2025

SEIKA AWARD 2025

奨励賞

美術・工芸部門[絵画]

命脈

小田原 侑花(大阪府立港南造形高等学校)

始まりは深い海の中。遥か昔35億年前に小さな細胞がひっそりと海の中で誕生した。私たち人間も、今目の前で囀っている小鳥や風に吹かれている木の葉の一枚、ジャングルに潜み静かに狩りのタイミングを伺う虎さえも、全てはその時生まれたたった一つの小さな細胞から始まっているのだ。生命は遺伝子と言う重いバトンを落とさぬように大切に今この時まで繋ぎ走り続けてきた。生き抜くための進化と絶滅を繰り返しながら。私たちがここに存在していることこそがその壮大な物語の何よりの印だ。絶滅後も遺伝子として他の生体内に生き続ける命の神秘に魅了された私は、35億年間途切れる事なく連続する命の歩みを一体の化身にした。生物が海に誕生し陸へ生存の場を移す進化の過程を足の皮膚の変容で表し、命の多様性と永遠性を縦横無尽に伸び続ける角で表現。過去から未来へ途切れることなくこの世界をつくっている全ての命の輝きを描きました。