奨励賞
美術・工芸部門［絵画］
そうぞうき
中西 木乃香（福岡県立香椎高等学校）
モチーフの白い臓器のような物体は脳髄。ぽつぽつと存在する茶色いマネキンのような人間は、その脳髄から生まれたけれど、脳髄の扱いをもて余す私である。私の中では世界とは、唯一無二の脳髄から産み出された仮初めの自分だ。不完全なまま産み出され放置される。だから脳髄はおぞましいけれども複雑で緻密で存在感を放っている。一方茶色い人間は不完全で形がとらえにくく本当に存在しているのか疑わしい。この空間に差す光も偽物のように平坦だ。でもここからどうそうぞうできるだろう。茶色い人間たちはどんな姿に変わっていくのか、どう私の世界が変わっていくのか、そんな変化していく可能性を見つめて制作することができた。また世界というテーマで連作を描くのは楽しそうだ。