奨励賞
美術・工芸部門[立体・彫刻]
MEMORE PLAYER
齋藤 詠空(クラーク記念国際高等学校 三田キャンパス)
本作は、記憶の不条理に囚われる現代人の姿をテーマにした立体作品です。
頭部がラジカセ、手はポケットに収めたキャラクターを通し、嫌な記憶が頭の中で鳴り止まない精神状態を表現しました。カセットテープは「記憶」の象徴です。本体上面の「再生」と「巻き戻し」ボタンが同時に深く押し込まれているのは、過去の嫌な出来事を何度もリピートし、決して未来へ進めない心の停滞を示しています。良い記憶はすぐに忘れるのに、嫌な記憶ほど鮮明に残り、思考を支配してしまう。そんな不自由な自意識を、ラジカセという記号的なモチーフに託しました。
造形面では、身近なダンボールのみを使用することにこだわりました。精密な設計と丁寧なカットを積み重ね、平面から複雑な多面体へと再構築することで、脆くも捨て去ることのできない「記憶」という存在の生々しさを具現化しています。