奨励賞
メディア部門[写真]
目にしみる赤
小曽根 蒼(埼玉県立芸術総合高等学校)
2時46分の揺れも、避難指示のアナウンスも、誰一人いなくなった町の静けさも、イノシシや猿の足音も、手のひらの線量計の数字も、周りの家が解体されていく音も、剥がれていく土の重みも、それでも繋ぎつつける100年の歴史も、ぜんぶぜんぶ、この大堀相馬焼が、憶えていてくれている。
そう信じながら、シャッターを切りました。その瞬間にも、鮮やかな色は埃や湿気で失われてゆき、五感で得た情報は輪郭を失い、完全な伝承には限界があることを思い知らされます。それでも信じて撮り続けるのは、たとえ不完全だとしても、私が写真という形で、目の前にある過去を、未来に繋げていきたいからです。